執筆者|小代
はじめに:「中古だと減税が少ない」は、もう昔の話かもしれません
「新築は高すぎる。でも中古だと住宅ローン減税が少ないって聞くし……」
家探しのご相談で、ぼくがよく耳にする本音です。たしかに以前は、中古住宅の減税は新築より控えめでした。
でも2026年の税制改正で、中古マンションの住宅ローン減税は大きく変わりました。 条件を満たせば、中古でも新築と同じ「最大13年間」の控除が受けられます。
この記事では、北摂・阪神エリアで中古マンションを探している方に向けて、2026年の住宅ローン減税で何が変わったのか、どんな物件・どんな世帯が得をするのかを、できるだけかみ砕いてお伝えします。
ワインを選ぶとき、ラベルの読み方をひとつ知っているだけで選択肢がぐっと広がります。住宅ローン減税もそれと同じで、「物件のどこを見ればいいか」を知っているかどうかで、受け取れる金額が大きく変わります。一緒に確認していきましょう。
住宅ローン減税とは?2026年改正で中古マンションの何が変わったか
住宅ローン減税(住宅ローン控除)は、年末のローン残高の0.7%を、所得税(引ききれない分は一部住民税)から差し引ける制度です。中古マンションの場合、控除期間は最大13年間です。
2026年度(令和8年度)の税制改正で、制度は2030年12月31日入居分まで5年間延長されました。中古住宅に関わる主な変更点は次の3つです。
- 省エネ性能の高い中古住宅は、借入限度額が引き上げられた
- 控除期間が10年から13年に延びた(省エネ性能の高い中古住宅の場合)
- 床面積の要件が50㎡以上から40㎡以上に緩和された(一部条件あり)
国土交通省も、今回の改正は既存の住宅ストック(=中古住宅)を活かすための支援拡充だと説明しています。つまり国として「中古住宅を選ぶ人を応援する」方向に舵を切った、ということです。
ポイントは「省エネ性能」です。同じ中古マンションでも、省エネ性能を証明できるかどうかで、受けられる減税額が大きく変わります。次の早見表で確認してみましょう。
【早見表】中古マンションの借入限度額と控除期間(2026年入居〜)
中古マンションの借入限度額は、省エネ性能の区分によって決まります。カッコ内は、子育て世帯・若者夫婦世帯の上乗せ後の金額です。
| 住宅の区分 | 省エネ性能の目安 | 借入限度額 | 控除期間 | 年間の最大控除額(目安) |
|---|---|---|---|---|
| 長期優良住宅・低炭素住宅 | 各認定を受けた住宅 | 3,500万円(4,500万円) | 13年 | 24.5万円(31.5万円) |
| ZEH水準省エネ住宅 | 断熱等性能等級5以上かつ一次エネルギー消費量等級6以上 | 3,500万円(4,500万円) | 13年 | 24.5万円(31.5万円) |
| 省エネ基準適合住宅 | 断熱等性能等級4以上かつ一次エネルギー消費量等級4以上 | 2,000万円(3,000万円) | 13年 | 14万円(21万円) |
| その他の住宅 | 上記を証明できない住宅 | 2,000万円 | 10年 | 14万円 |
「年間の最大控除額」は、借入限度額×0.7%で計算した上限です。 実際の控除額は「年末のローン残高×0.7%」と「その年に納めた所得税・住民税(住民税は上限あり)」のうち、少ないほうになります。
13年間でどれくらい違う?ざっくり比較
たとえば子育て世帯が、省エネ基準適合住宅の中古マンションを3,000万円以上のローンで買った場合、控除の上限は年21万円×13年です。
一方、省エネ性能を証明できない「その他の住宅」だと、年14万円×10年が上限になります。同じ物件価格でも、上限ベースで100万円以上の差が出ることがあります。
※ローン残高は返済とともに減るため、実際の控除額は上限より少なくなります。具体的な金額は、借入額や年収をもとに個別にシミュレーションするのが確実です。
中古マンションで住宅ローン減税を使うための主な条件
減税を受けるには、次の条件をすべて満たす必要があります。物件探しの段階から意識しておくと安心です。
- 床面積が40㎡以上(登記簿上の面積):合計所得金額が1,000万円を超える方、子育て世帯等の上乗せを使う方は50㎡以上が必要です。
- 合計所得金額が2,000万円以下
- 自分が住むための家であること:投資用・セカンドハウスは対象外です。
- 引き渡しから6か月以内に住み始めること
- ローンの返済期間が10年以上であること
- 親族など特別な関係のある人からの購入ではないこと
- 入居が2026年1月1日〜2030年12月31日であること
注意したい「面積」と「築年数」
面積は「登記簿上の面積」で判断します。 マンションの広告やパンフレットに載っている「壁芯面積」は、登記簿の「内法面積」より少し広く表示されます。広告で「52㎡」とあっても、登記簿では50㎡を下回ることがあるので要注意です。
築年数は「1982年(昭和57年)1月1日以降に建てられたか」が目安です。 それより前に建てられた住宅は、現行の耐震基準を満たすことを証明する書類(耐震基準適合証明書、既存住宅売買瑕疵保険の付保証明書など)が別途必要になります。
たとえば千里ニュータウンには1970〜80年代のマンションも多く残っています。気になる物件があれば、築年月と登記簿の面積を、購入申込の前に一緒に確認させてください。
子育て世帯・若者夫婦世帯は借入限度額が上乗せに
2026年の改正で、省エネ性能の高い中古住宅にも「子育て世帯・若者夫婦世帯」の上乗せが使えるようになりました。北摂・阪神エリアで、お子さんの学区を考えながら家を探している方には特に大きなポイントです。
対象になる世帯
- 子育て世帯:19歳未満の扶養親族がいる方
- 若者夫婦世帯:配偶者がいる40歳未満の方、または40歳未満の配偶者がいる方
上乗せの金額
- ZEH水準省エネ住宅・長期優良住宅など:3,500万円 → 4,500万円
- 省エネ基準適合住宅:2,000万円 → 3,000万円
- その他の住宅:上乗せなし(2,000万円のまま)
見落としやすい注意点
上乗せを使う場合、床面積の要件は40㎡ではなく50㎡以上になります。コンパクトな2LDKを検討している方は、登記簿の面積を必ず確認しましょう。
また、上乗せは「その他の住宅」には適用されません。つまり子育て世帯にとっては、物件の省エネ性能を証明できるかどうかが、減税額を左右する一番の分かれ道になります。
知らないと損をする3つの注意点
1. 省エネ性能は「書類」で証明する
省エネ基準適合住宅やZEH水準として減税を受けるには、次のどちらかの書類が必要です。
- 建設住宅性能評価書の写し(断熱等性能等級と一次エネルギー消費量等級の記載があるもの)
- 住宅省エネルギー性能証明書(建築士事務所に属する建築士、登録住宅性能評価機関などが発行)
どちらも、家屋の取得日の前2年以内、または取得日以後6か月以内に調査が終わったものに限られます。
築年数が経った中古マンションでは、こうした書類が手元にないことも少なくありません。その場合は「その他の住宅」扱いになり、借入限度額2,000万円・控除期間10年になります。購入を決める前に「この物件は省エネ性能を証明できるか」を確認することが、いちばん大切なポイントです。
2. 金利が上がる時代こそ「減税込み」で考える
2026年は住宅ローン金利の上昇が続いています。ダイヤモンド不動産研究所によると、2026年10月は変動・固定とも引き上げとなり、長期固定のフラット35(買取型)も3%台後半(3.830%)まで上昇しました。
控除率は0.7%なので、借りている金利がそれを上回ると「減税で利息分がまかなえる」状態ではなくなります。だからこそ、減税だけを目当てに借入額を増やすのではなく、毎月の返済が無理のない範囲かどうかで判断することが大切です。
3. 1年目は自分で確定申告が必要
住宅ローン減税は、入居した年の分を翌年に自分で確定申告して初めて受けられます。会社員の方も1年目だけは確定申告が必要で、2年目以降は年末調整で手続きできます。
主な提出書類は、確定申告書、住宅借入金等特別控除額の計算明細書、ローンの年末残高証明書、売買契約書の写し、登記事項証明書などです。省エネ性能の証明書が必要な場合は、それもあわせて提出します。
北摂・阪神エリアで中古マンションを選ぶときのチェックポイント
豊中・吹田・宝塚・伊丹・川西・池田などのエリアには、千里ニュータウンをはじめ、築年数も広さもさまざまなマンションがあります。減税を最大限に活かすために、内見の前後で次の5つを確認してみてください。
- 築年月:1982年1月1日以降の建築か。それより前なら耐震の証明書類が用意できるか。
- 登記簿の床面積:40㎡以上か。子育て世帯の上乗せを使うなら50㎡以上か。
- 省エネ性能の書類:建設住宅性能評価書や住宅省エネルギー性能証明書があるか、取得できる見込みがあるか。
- リフォームの内容:リフォーム済み物件なら、どこまで手が入っているか。断熱改修の有無も含めて確認。
- 管理状態と修繕計画:減税とは別に、長く安心して住めるかどうか。修繕積立金や大規模修繕の履歴、管理組合の総会議事録も大切な判断材料です。
こうした確認は、物件情報だけではわからないことも多いものです。NOBORDERS不動産では、ほかの不動産会社がポータルサイトに掲載している物件でもご案内できます。気になる物件があれば、「この物件は減税の対象になりそう?」というご相談からでもお気軽にどうぞ。
よくある質問(FAQ)
Q1. 中古マンションでも住宅ローン減税は13年間受けられますか?
はい。2026年以降に入居する場合、長期優良住宅・低炭素住宅・ZEH水準省エネ住宅・省エネ基準適合住宅に当てはまる中古住宅なら、控除期間は13年間です。省エネ性能を証明できない「その他の住宅」は10年間です。
Q2. 45㎡の中古マンションでも対象になりますか?
登記簿上の床面積が40㎡以上で、合計所得金額が1,000万円以下なら対象になります。ただし、子育て世帯・若者夫婦世帯の上乗せを使う場合は50㎡以上が必要です。
Q3. 築40年のマンションでも減税を受けられますか?
1982年1月1日以降に建てられた物件であれば、築年数そのものは問題になりません。それより前の物件は、耐震基準適合証明書や既存住宅売買瑕疵保険の付保証明書など、耐震性を証明する書類が必要です。
Q4. 省エネ性能の証明書は誰に頼めばいいですか?
建築士事務所に属する建築士、登録住宅性能評価機関、指定確認検査機関、住宅瑕疵担保責任保険法人が発行できます。取得日の前2年以内または取得日以後6か月以内の調査が条件なので、購入前に不動産会社へ相談しておくとスムーズです。
Q5. リフォーム費用もローンに含めた場合、減税の対象になりますか?
物件の購入と同時に借りるリフォーム費用を含め、条件を満たせば対象にできるケースがあります。借入の組み方によって扱いが変わるため、金融機関や税務署、不動産会社に事前に確認しましょう。
まとめ:中古マンションは「省エネ性能」で減税額が変わる
2026年の改正で、中古マンションの住宅ローン減税はぐっと使いやすくなりました。最後にポイントをおさらいします。
- 省エネ性能の高い中古住宅は、控除期間が最大13年に
- 借入限度額は省エネ性能で決まり、子育て世帯・若者夫婦世帯は最大4,500万円まで上乗せ
- 床面積は40㎡以上に緩和(上乗せ利用や所得1,000万円超の方は50㎡以上)
- 省エネ性能を証明できないと「その他の住宅」扱いで2,000万円・10年
- 1年目は確定申告が必要
減税の条件は、物件を決める前に確認するのがいちばんです。「この物件、減税の対象になる?」「うちの場合、いくらくらい戻ってくる?」といった小さな疑問から、ぼくが一緒に整理します。
売り込みはしません。ワインの好みを聞くように、まずは暮らし方や予算のお話から聞かせてください。
※本記事は2026年10月時点の国土交通省の公表内容をもとに作成しています。実際の適用可否や控除額は個々の状況により異なります。最終的な判断は税務署や税理士にご確認ください。
